はじめに

夢があるのに飛べない悲しい若い魂へ

 

二十歳の中盤まで僕にとって、漫画を除く本というものは、その言葉のイメージだけで距離が感じられる、面白くないものだった。

 

ある日、人間関係に嫌気がさして、藁でも掴みたい一心で本を買って読むようになった。最初に読んだのは劣等感について扱った本だった。二日間だけで全て読んでしまったが、多くの部分で共感して、胸の奥深くで満足感を感じた。

 

「本を読むことは特別なことじゃないんだな」と

 

我が国は国民の読書量も、文化的生活の水準も低いという話を聞いたことがある。だけど僕が考える文化的生活というものは、お金を出して見る公演のようなものではなく、自分の中で問題となっている感情を治療するため、何らかの行動をすることなのだ。それが絵だろうと歌だろうと。僕はひどい孤独感とうつ病を治すため、書店を探しまわって、その時見つけた本から、誰にも教えてもらえなかった解答を得た。

 

その後、僕にとって買い物といえば全て書店で本を買うことで、読書とはより良い人生を送るための方法を模索することだった。最初は自己啓発に関連する本を読んだけれど、今では潜在意識、催眠、漢方医学、陰陽五行、ミステリー等と、だんだん範囲は広がっていっている。僕は、自分の未来に影響を与える本についての興味が止まらない。

 

本は友人であり、両親であり、先生であり、椅子だ。本は僕の心を楽に座らせて、色々な話を聞かせてくれる。こうして本は何の心の負担もなく近づくことができるし、僕が思い通りに評価を下せる。時には面白く無いと投げつけても文句を言わない、心の広い存在だ。いつも親切に僕と一緒にいてくれる、物言わぬカウンセラー。

 

決して僕はすごい人だから本を書くのではない。ただ僕は夢を目標にして、現在の人生を進行させているだけ。こんな僕の姿が本を通じて生々しく伝わって、誰かの人生に小さくても肯定的な影響を与えることができたなら、この本の存在意義は十分だと思う。フィソンという他人の人生の過程を書いた、未熟な指南書とはいえ、これが必要でこの本を手にとったあなたは、前向きな日常を送るために、何らかの希望を見出そうとしてる人なのだろう。

 

人は皆同じだ。満たされていなければ心穏やかな人生を送ることができない。様々な欲求があって、生きるための基本的な欲求以外の欲のために、絶えず苦悩している。いつの日か人並外れた成功を成し遂げたいと思いながらも、今現在何もせず、ただ虚しい気持ちの中で、貴重な人生を浪費することだってできる。自己啓発書に登場するような偉人たちが羨ましいけれど、彼らは偉大すぎて手が届かない。すごすぎる偉人達を目標にして”最初の一歩”を踏み出せば、いつまで経ってもたどり着かない絶望感に疲れてしまったりして、数日で諦めてしまう確率が高い。

 

こんな時、「あの人程度のレベルなら自分にもできるんじゃないか」と思える人物がいるなら、最初の一歩を軽い気持ちで踏み出せるし、失敗してもまた挑戦しようという気持ちの余裕を、かなり持てるんじゃないかと思う。僕がその気軽な目標になれるのかもしれない。

 

僕はこの本を読んだ皆さんが『情熱』という目標のためなら、喜んでどんな対価もいとわないという気持ちで、目標への最初の一歩を始められるようになって欲しい。僕がその一つのきっかけになればと思う。

 

この本は「成功するためにはこうしなさい」という方法はひとつも出てこない、本当にぶっきらぼうな本だ。だけど、あなたが実現可能な夢を設定して、自信を持って最初の一歩を踏み出すための小さな力に成れることを願っている。一度最初の一歩を踏み出したなら、あなたはすでに目標に向かって走り始めたのであり、最終的にはあなたの夢と肯定的な会話を交わすようになれるだろう。

 

情熱はいつか必ず、あなたの未来に漂う、無数の幸運を選びとるチャンスを与えてくれる。

 

僕は信じている。この本を読んだ人の中で、たった一人でも僕の本心を理解してくれれば、その人は変化を恐れず楽しむことができ、夢に近づけるだろうと。その一つだけでも達成できれば僕は満足で幸せだ。

 

2009年10月 フィソン